病院でも受けられる?化粧療法の活用場面と探し方【がん治療・リハビリ】

病院でも受けられる?化粧療法の活用場面と探し方【がん治療・リハビリ 化粧療法
病院でも受けられる?化粧療法の活用場面と探し方【がん治療・リハビリ

病院でも受けられる?化粧療法の活用場面と探し方【がん治療・リハビリ】

「病気の治療中で、なんだか気分がふさぎがち…」
「治療の副作用で、見た目の変化が気になる…」
「入院生活に彩りがほしい…」

病気や怪我と向き合う中で、そんな風に感じていませんか? 実は、病院の中でも「化粧療法」を通じて、心と身体をサポートする取り組みが行われていることがあります。

この記事では、「病院で化粧療法って受けられるの?」「どんな目的で行われているの?」「どうやって探せばいい?」といった疑問にお答えします。特に、がん治療におけるアピアランスケアや、リハビリテーションの一環としての活用例、そして実際に病院で化粧療法を受けるための具体的なステップについて、分かりやすく解説していきます。

病院での化粧療法について理解を深め、あなたやあなたの大切な人が、少しでも前向きな気持ちで治療や療養生活を送るための一助となれば幸いです。

病院で化粧療法を考える際の3つのポイント

病院での化粧療法に関心を持ったら、まず以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

ポイント1:目的を明確にする

なぜ化粧療法を受けたいのか、目的をはっきりさせることが大切です。例えば…

  • 治療による外見の変化(脱毛、肌のくすみ等)をカバーしたい(アピアランスケア)
  • 気分転換やリフレッシュをしたい
  • 手指のリハビリや脳の活性化につなげたい
  • 社会復帰に向けて身だしなみを整えたい

目的によって、相談すべき相手や受けられるサポートの内容が変わってきます。

ポイント2:主治医や看護師に相談する

化粧療法を受けたいと考えたら、まずは主治医や担当の看護師に相談してみましょう。 病状や治療状況によっては、肌への刺激を避ける必要があったり、感染対策に特別な配慮が必要だったりする場合があります。医療スタッフに相談することで、安全に化粧療法を受けられるか、病院内でどのようなサポートが利用できるかといった情報を得ることができます。

ポイント3:実施体制を確認する

病院によって化粧療法の実施体制は様々です。

  • 病院スタッフ(看護師、作業療法士など)が実施する
  • 専門の化粧療法士やメイクセラピストが外部から派遣される
  • ボランティア団体が協力している
  • 特定の相談窓口(がん相談支援センターなど)が対応する

どのような体制で、誰が、どのような内容のサポートを提供しているのかを確認することが大切です。

病院における化粧療法の主な活用場面

病院では、様々な目的で化粧療法が活用されています。ここでは代表的な場面をご紹介します。

1. がん治療における「アピアランスケア」

がん治療(抗がん剤、放射線治療など)は、脱毛、皮膚の変色・乾燥、爪の変化といった外見上の変化を伴うことがあります。これらの外見の変化による精神的な苦痛を和らげ、治療と向き合う意欲やQOL(生活の質)を維持・向上させるためのケアを「アピアランスケア」と呼びます。

化粧療法はアピアランスケアの重要な柱の一つです。

  • 眉やまつ毛が抜けた際の描き方のアドバイス
  • 肌のくすみや色の変化をカバーするメイク
  • 爪の変色を目立たなくするネイルケア
  • ウィッグのアレンジや帽子の選び方
  • スキンケア指導(治療中の敏感な肌向け)

多くのがん診療連携拠点病院などには、「がん相談支援センター」が設置されており、アピアランスケアに関する相談に応じています。

アピアランスケアとは:「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」(国立がん研究センター定義)

参考:国立がん研究センター がん情報サービス アピアランスケア

2. リハビリテーションの一環として

脳卒中後遺症や神経難病、あるいは高齢による身体機能の低下などに対し、リハビリテーションの一環として化粧療法が取り入れられることがあります。

  • 手指の巧緻性向上: 化粧品の蓋を開ける、ブラシを持つ、細かい部分に色を塗るなどの動作が、手指の細かい運動能力(巧緻性)の訓練になります。
  • 高次脳機能の改善: メイクの手順を考えたり、左右対称に仕上げたりすることが、注意機能や遂行機能といった高次脳機能へのアプローチにつながります。
  • 意欲の向上: 身だしなみが整うことで、リハビリへの意欲が高まったり、他者との交流に関心が向いたりすることが期待されます。

作業療法士(OT)などが中心となって実施されることが多いです。

3. 精神科領域での活用

精神科の入院患者さんやデイケア利用者さんに対して、精神的な安定や自己肯定感の向上、社会性の回復などを目的に化粧療法が用いられることがあります。

  • 気分転換、リフレッシュ効果
  • 自己表現の手段
  • 集中力や作業能力の維持・向上(作業療法として)
  • 身だしなみへの意識向上による社会復帰支援

4. 緩和ケアにおけるQOL向上

緩和ケア病棟などでは、患者さんの身体的・精神的な苦痛を和らげ、残された時間をその人らしく過ごせるようにサポートする一環として、化粧療法が行われることがあります。穏やかな気持ちになったり、家族との写真撮影の際に少しでも明るい表情になったりするなど、QOL向上に貢献します。

【状況別】病院での化粧療法の探し方と相談先

では、実際に病院で化粧療法を受けたい場合、どのように探せばよいのでしょうか?あなたの状況に合わせて考えてみましょう。

がん治療を受けている方(アピアランスケア)

  1. まずは「がん相談支援センター」へ: がん診療連携拠点病院などに設置されているがん相談支援センターは、アピアランスケアに関する情報提供や相談対応を行っています。看護師やソーシャルワーカーなどが対応してくれます。まずはここに相談するのが最も確実です。(※無料で相談できます)
  2. 主治医・看護師に相談: センターがない場合や、まずは身近な人に聞きたい場合は、主治医や病棟の看護師に尋ねてみましょう。院内の担当者や外部の相談先を紹介してくれる場合があります。
  3. 病院のウェブサイトを確認: 病院によっては、ウェブサイトにアピアランスケアに関する情報を掲載している場合があります。「〇〇病院 アピアランスケア」「〇〇病院 がん相談支援センター」などで検索してみましょう。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス がん診療連携拠点病院などを探す

リハビリテーションを受けている方

  1. 担当の医師・リハビリスタッフ(特に作業療法士)に相談: 現在受けているリハビリの担当者に、化粧療法を取り入れることに関心がある旨を伝えてみましょう。リハビリプログラムの一環として実施可能か、あるいは他の方法があるかなどを相談できます。

精神科の治療を受けている方

  1. 主治医・看護師・精神保健福祉士(PSW)に相談: 治療を受けている病院のスタッフに、化粧療法に関心があることを話してみましょう。作業療法プログラムやデイケアなどで実施されている可能性があります。

上記以外の方・具体的な実施病院を探したい方

  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談: 病院内の「医療福祉相談室」などにいるMSWは、院内外の様々な社会資源(サービスや制度)に詳しい専門職です。化粧療法に関する情報を持っている場合があります。
  • 化粧療法関連団体のウェブサイト: 化粧療法士の資格認定などを行っている団体のウェブサイトで、協力医療機関や資格を持つ専門家を探せる場合があります。(例:日本化粧療法協会、メイクセラピストジャパンなど)
  • インターネット検索: 「化粧療法 病院 + 地域名」「メイクセラピー 医療機関」などのキーワードで検索すると、情報が見つかることがあります。(ただし、情報が古い場合もあるので注意が必要です)

病院での化粧療法に関する費用・保険適用

気になる費用についてですが、病院での化粧療法は、その実施形態によって扱いが異なります。

  • 保険適用:
    • 化粧療法「そのもの」が保険適用となることは、現時点ではありません。
    • ただし、リハビリテーション(作業療法など)や精神科の治療プログラムの一環として行われる場合は、包括的な治療費の中に含まれる形で、間接的に保険が適用されていると考えられます。
  • 自費:
    • 外部の専門家(化粧療法士など)による個別セッションや、特別な材料を使用する場合などは、自費負担となることが一般的です。
    • アピアランスケアの相談自体は無料でも、具体的なメイクレッスンやウィッグ購入などは別途費用がかかります。
  • 無料相談・情報提供:
    • がん相談支援センターでの相談や、看護師などによる情報提供は、多くの場合無料で受けられます。

費用については、必ず事前に病院の担当窓口や実施者に確認するようにしましょう。

病院で化粧療法を受ける際の注意点

病院という環境で化粧療法を受ける際には、いくつか注意しておきたい点があります。

  • 感染対策: 病院内では感染予防が非常に重要です。特に免疫力が低下している場合などは、使用する化粧品や道具の衛生管理、実施場所などに配慮が必要です。必ず医療スタッフの指示に従いましょう。
  • アレルギー・肌への刺激: 治療の影響などで肌が敏感になっている場合があります。低刺激性の化粧品を選ぶ、初めて使うものはパッチテストを行うなど、肌トラブルを防ぐ工夫が必要です。
  • 医療スタッフとの情報共有: 化粧療法の内容や、それによって何か変化があった場合(肌トラブル、気分の変化など)は、主治医や看護師に伝えるようにしましょう。チームで情報を共有することが大切です。
  • 過度な期待はしない: 化粧療法はQOL向上に役立ちますが、病気の根本的な治療ではありません。あくまで治療をサポートするものと捉えましょう。
  • 実施体制の限界: 全ての病院で化粧療法が受けられるわけではありません。また、実施している病院でも、専門スタッフの数や時間に限りがある場合があります。

まとめ:まずは一歩、相談から始めてみませんか?

この記事では、病院における化粧療法の活用場面や探し方、注意点などを解説してきました。

病院での化粧療法は、特にがん治療中のアピアランスケアやリハビリテーションにおいて、患者さんのQOLを支え、前向きな気持ちを引き出すための有効なアプローチとして、その重要性が高まっています。

もしあなたが、病気や治療に伴う心身の悩みに対して、化粧療法が何か助けになるかもしれないと感じたら、まずは勇気を出して、主治医、看護師、がん相談支援センターなどに相談してみてください。

全ての病院で希望通りのサポートが受けられるとは限りませんが、相談することで、あなたに合った情報や他のサポートにつながる可能性も十分にあります。この記事が、あなたがより良い療養生活を送るためのきっかけとなれば幸いです。

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