化粧品、医薬部外品、薬用化粧品…違いを徹底解説!賢く選ぶための基礎知識
お店には様々な「化粧品」が並んでいますが、中には「医薬部外品」や「薬用化粧品」といった表示も見られます。これらの違いをご存知でしょうか? 実は、これらの製品は、目的、効果の強さ、製造販売に必要な手続き、表示ルールなどが薬機法(医薬品医療機器等法)によって明確に区分されています。
この違いを理解することは、あなたの肌悩みや目的に合った製品を正しく選び、効果を最大限に引き出すために非常に重要です。この記事では、化粧品、医薬部外品、薬用化粧品の違いを分かりやすく解説します。
1. あなたのコスメ、本当に理解してる?
毎日使う化粧品。「なんとなく良さそうだから」「友達が使っているから」で選んでいませんか? パッケージに書かれた小さな文字や、「薬用」という言葉の意味を、正確に理解している人は少ないかもしれません。
しかし、これらの表示には、製品がどのような目的で作られ、どの程度の効果が期待できるのか、そしてどのようなルールに基づいて製造・販売されているのかという重要な情報が詰まっています。
この記事を最後まで読めば、あなたはこれらの表示の意味を完全に理解し、これからは自信を持って、そして賢く化粧品や医薬部外品を選べるようになります。
参考リンク:厚生労働省|医薬品医療機器等法(薬機法)の概要
2. 化粧品の定義:美容と清潔のためのやさしい作用
薬機法では、化粧品を以下のように定義しています。
「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」
重要なのは「人体に対する作用が緩和なもの」であるという点です。化粧品は、あくまで「美容」や「清潔」を目的としており、疾病の治療や予防といった医療的な効果を標榜することはできません。
具体的には、肌を保湿する、清浄にする、紫外線を防ぐ(紫外線散乱剤・吸収剤の配合による)、メーキャップ効果で肌色を補正するといった、物理的または一時的な作用や、肌や髪を「健やかに保つ」ための予防・維持的なケアを目的としています。
3. 医薬部外品の特徴:特定の目的へのアプローチ
医薬部外品は、薬機法において化粧品と医薬品の間に位置づけられる製品です。その特徴は以下の通りです。
- 特定の目的のための有効成分配合: 医薬部外品は、厚生労働省が承認した特定の「有効成分」を、その目的に対して有効な濃度で配合しています。
- 予防や衛生の目的: 疾病の「治療」ではなく、主に「予防」や「衛生」を目的としています。例えば、ニキビ予防、肌荒れ予防、美白(メラニンの生成を抑えることによるシミ・そばかすの予防)、フケ・かゆみ予防、殺菌、制汗などが挙げられます。
- 厚生労働大臣の承認が必要: 医薬部外品を製造販売するためには、製品ごとにその配合成分、効能効果、用法・用量、安全性などについて厚生労働大臣の承認が必要です。この承認プロセスには、有効性や安全性の根拠を示す詳細なデータの提出が求められ、承認までには一般的に半年以上の期間がかかることもあります。
- 有効成分の訴求が可能: 化粧品では特定の成分の効果効能を直接的にうたうことは制限されていますが、医薬部外品では承認された有効成分の名称とその期待できる効果をパッケージや広告で訴求することができます。
4. 「薬用化粧品」とは?:医薬部外品の中の「化粧品類似」製品
「薬用化粧品」という名称はよく耳にしますが、これは薬機法上の正式な分類名称ではなく、医薬部外品の中で、その剤型や使用方法が化粧品と類似しているものを指す通称です。
薬用化粧品も医薬部外品ですから、当然ながら厚生労働大臣の承認を受けた有効成分を配合し、医薬部外品として承認された効能効果(肌荒れ防止、美白など)をうたうことができます。
例えば、「薬用化粧水」「薬用乳液」「薬用クリーム」「薬用石けん」「薬用ハンドクリーム」などがこれにあたります。これらは、化粧品としての使用感や美容効果に加え、特定の肌悩みに対する医薬部外品としての効果も期待できる製品と言えます。
5. 届け出と承認、そして成分表示の違い
化粧品と医薬部外品では、市場に流通させるための手続きや、表示に関するルールが大きく異なります。
化粧品は事前の承認制度がないため、消費者が安心して使用できるよう、全ての配合成分を知ることができるように全成分表示が義務付けられています。一方、医薬部外品は個別の承認を受けているため、全成分表示の義務はありませんが、近年の消費者ニーズの高まりから、多くの製品で自主的に全成分が表示されるようになっています。
6. 指定医薬部外品:規制緩和により生まれた区分
医薬部外品の中には、「指定医薬部外品」と呼ばれる区分があります。これは、かつては医薬品として扱われていたものの、人体への作用が比較的緩和であり、より安全性が高いと判断されたため、規制が緩和され医薬部外品に移行されたものです。
指定医薬部外品は、リスク分類としては通常の医薬部外品よりもさらに低いとされており、薬局やドラッグストアだけでなく、スーパーやコンビニエンスストアなどでも販売が可能です。
例としては、タウリンやビタミンB群などを配合した一部のミニドリンク剤、整腸作用のある一部の整腸剤、そしてアルコールを有効成分とする手指消毒剤などがあります。
7. 効果の強さのピラミッド:医薬品を頂点として
医薬品、医薬部外品、化粧品は、期待できる効果の強さという点で段階的に分類できます。一般的には、以下の順で効果が強いと考えられます。
医薬品(治療・診断・予防目的) ◀︎ 指定医薬部外品 ◀︎ 医薬部外品(薬用化粧品含む)(予防・衛生目的) ◀︎ 化粧品(美容・清潔目的)
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個別の製品の効果は配合されている成分の種類や濃度、製品の処方などによって異なります。
8. まとめ:違いを知って、最適な一品を選ぼう
化粧品、医薬部外品、薬用化粧品、指定医薬部外品は、それぞれ薬機法に基づいた明確な違いがあります。目的、効果の範囲、必要な手続き、表示ルールなどを理解することで、あなたは自分のニーズに最も合った製品を選ぶことができるようになります。
- 日常的な肌や髪のケア、メイクアップ、香りの装いには化粧品。
- ニキビ予防、肌荒れ予防、美白といった特定の肌悩みへのアプローチには、有効成分が配合された医薬部外品(薬用化粧品含む)。
- 軽微な体調不良の改善や衛生目的には指定医薬部外品。
- 疾病の治療や診断、予防には医師の処方箋が必要な医薬品。
パッケージの表示や広告表現を鵜呑みにせず、それぞれの製品区分が持つ意味を理解し、賢い消費者として最適な一品を選びましょう。
もし製品選びに迷ったり、特定の成分について詳しく知りたい場合は、専門家(薬剤師や登録販売者、化粧品メーカーの相談窓口など)に相談することもおすすめです。
この情報が、あなたの製品選びの参考になれば幸いです。
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