メイクが落ちにくいのはなぜ?成分と技術から解き明かすクレンジングの科学

メイクが落ちにくいのはなぜ?成分と技術から解き明かすクレンジングの科学 スキンケア
メイクが落ちにくいのはなぜ?成分と技術から解き明かすクレンジングの科学

メイクが落ちにくいのはなぜ?成分と技術から解き明かすクレンジングの科学

導入:全成分表示だけでは見えない!メイク製品の「落ちにくさ」の秘密

「このファンデーション、全然落ちない…」「ウォータープルーフのマスカラって本当に手強い!」

普段何気なく使っているメイク製品ですが、その成分や、それを支える技術は仕上がりだけでなく「落ちにくさ」にも大きく影響を与えています。全成分表示だけでは読み取れない、メイク製品の奥深い世界を探り、クレンジングの効果を高めるための知識を身につけましょう。

この記事では、落ちにくいメイク製品に使われる成分や技術、そしてそれらを成分表示から読み解く方法を、具体例を交えながら徹底解説します。


1. メイク成分の隠れた特徴:仕上がりと落ちにくさを左右する技術

メイク製品の全成分表示は、配合されている成分を知る上で重要な手がかりとなります。しかし、成分名だけでは、着色粉体の表面処理、油の種類、被膜形成剤といった製品に使われている技術までは分かりにくいものです。

着色粉体とその表面処理:美しい発色と密着性の両立

ファンデーションやアイシャドウなどに使われる着色粉体は、そのままでは肌への密着性が低く、色ムラになりやすいという課題があります。そのため、ジメチコンレシチンなどで表面処理が施されます。

  • ジメチコン:シリコーンオイルの一種で、撥水性を高め、メイクの持ちを良くします。

  • レシチン:リン脂質の一種で、肌への親和性を高め、粉体の分散性を向上させます。

これらの表面処理によって、メイクは肌に均一に密着し、美しい発色と持続性を実現します。ただし、クレンジング時にはこれらのコーティングが油分を弾き、落としにくくなる要因にもなります。

油の種類:テクスチャーと落ちやすさの関係

ファンデーションや口紅などのベースとなる油の種類も、メイクの質感や落ちやすさに大きな影響を与えます。揮発性が高い油、べたつきにくい油、膜を形成しやすい油など、目的に応じて使い分けられています。

被膜形成剤:美しい仕上がりを長時間キープ

メイクの持続性を高めるために配合される被膜形成剤は、肌の上に薄い膜を形成し、顔料や油分を固定する役割を果たします。

  • トリメチルシロキシケイ酸:耐水性が高く、汗や水によるメイク崩れを防止します。

  • アクリレーツコポリマー:柔軟な被膜を形成し、持続性を向上させます。

これらの被膜はメイクの持ちを良くする一方で、クレンジング時には油性のクレンジング剤でも落としにくい場合があります。


2. メイクを落としにくくする要素:剤形、表面処理、油分、被膜

メイクの「落ちにくさ」には、さまざまな要素が関わっています。

剤形の違い:O/W型とW/O型

乳液やクリーム状のメイク製品には、**O/W型(油中水型)W/O型(水中油型)**の2つの剤形があります。

  • O/W型(油が水に分散):水分が多く、さっぱりした使用感で、比較的クレンジングしやすい。

  • W/O型(水が油に分散):油分が多く、肌への密着性が高く、水や汗に強く、クレンジングしにくい。

全成分表示の成分順序から、ある程度剤形を推測することが可能です。

表面処理粉体:撥水性と密着性の向上

ジメチコンやレシチンで表面処理された粉体は撥水性が高く、肌に密着しやすくなりますが、その分クレンジング時に落としにくくなります。

ペースト油・ワックス:べたつく膜は頑固な汚れに

ベヘニルアルコールキャンデリラロウなどの高融点油脂類は、肌の上でべたつく膜を形成し、色材の密着を高めます。特に口紅やコンシーラーなどに多く使用されています。

被膜形成剤:耐久性の高いポリマーの膜

前述のトリメチルシロキシケイ酸やアクリレーツコポリマーは、耐水性の高い膜を形成し、長時間持続するメイクを実現しますが、クレンジングの難易度も上がります。


3. 成分から落ちにくさを推察する方法

全成分表示から、製品の落ちにくさをある程度見抜くことができます。以下に架空の製品例を紹介します。

架空のリキッドファンデーション成分例

水、シクロペンタシロキサン、酸化チタン、ジメチコン、BG、炭酸プロピレン、タルク、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、塩化Na、フェノキシエタノール…

ここからわかるポイント:

  • シクロペンタシロキサン:揮発性が高いが、蒸発後にシリコーン膜が残るため、落ちにくくなる。

  • トリメチルシロキシケイ酸、アクリレーツ系ポリマー:撥水性を高め、持続性アップ。

  • 炭酸プロピレン:揮発性溶剤で製品の伸びをよくするが、密着感も高まる可能性あり。

架空の口紅成分例

ジメチコン、イソノナン酸イソトリデシル、ポリエチレン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、酸化チタン、赤201、黄4…

ここからわかるポイント:

  • ジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸:撥水性と色持ちを高めるが、落ちにくい。

  • ポリエチレン、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス:しっかりと色材を固定するため、クレンジングに手間がかかる。


4. メイクを落としやすくするための技術:資生堂「総分離技術」の例

資生堂が開発した口紅の**「総分離技術」**は、唇の水分に反応してカラー層と透明なコート層に分離する新技術です。

仕組み

  • 塗布時に唇の水分と反応し、透明な膜が色層を覆うことで色移りを防止。

  • クレンジング時には、コート層が色層を守るため、比較的簡単に落とせる設計になっています。

このように、メイク技術の進歩は、仕上がりだけでなく「落としやすさ」にも大きく寄与しています。


まとめ:成分と技術を理解して、賢くクレンジングを選ぼう

メイク製品の成分や技術を理解することで、仕上がりの良さだけでなく「クレンジングのしやすさ」も見極められるようになります。全成分表示、剤形、表面処理、油脂の種類、被膜形成剤などをポイントに、製品を選んでいきましょう。

これからは、ご自身のメイク製品の成分表示を注意深く確認し、賢くクレンジング剤を選んでください。


参考情報:

 

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